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令和6年能登半島地震・奥能登豪雨に係る災害ボランティア活動報告

京都刑務所 根耒 靖昌

1 志援によるボランティア活動

  令和7年7月20日及び同月21日の両日、石川県珠洲市において、刑務官等の矯正職員を中心とした災害支援ボランティアチーム「志援」による、令和6年能登半島地震・奥能登豪雨に係る災害ボランティア活動を実施しました。能登半島における志援のボランティア活動は、令和6年4月の鳳珠郡穴水町での活動を皮切りに、ボランティア活動を通じて交流を深めた石川県各市町の社会福祉協議会や他のボランティア団体等と連携して被災地のニーズに応じた活動を継続しており、活動範囲も穴水町、能登町、輪島市、珠洲市と、能登半島各所に広がり、今回で14回目となりました。
 そんな中、令和5年5月に発足した「志援」は、活動の賛同者を増やし、メンバーは執筆日現在で55名を数えます。ボランティア活動の参加者も、活動初期は穴水町での単独活動でしたが、支援の輪は矯正職員だけでなく、職員家族、OBも参加し、1日あたりの参加者が最大16名、延べ参加者数は65名を超え、能登半島での支援活動者が志援の総員を上回る状況となっています。

2 活動内容等(括弧内は活動者の所属)

 ⑴ 令和7年7月20日(日)珠洲市宝立町
   活動者:5名(山本事務局(熊本)、京都刑務所2名、京都拘置所奈良拘置支所、加古川刑務所)
   活動内容:能登瓦の解体・保存の特殊案件。石川県の瓦保存団体と連携して活動
 ⑵ 同月21日(祝)珠洲市正院町
   活動者:5名(山本事務局、京刑2名、奈良拘支、加古刑)
   活動内容:被災家屋の資材等の保存、災害不要物の集積場への搬出活動。
他のボランティア団体と連携して活動

3 活動調整等
  今回の活動においては、当初、熊本から2名、関西から7名、東京から1名の10名程度が参加予定でしたが、トカラ近海の地震活動等による公務の多忙、刑事施設特有の緊急対応のほか、体調不良者の発生や、今回の活動拠点が珠洲市のキャンプ場でのテント泊であったことなどから、参加を熱望している者もやむなく見送る結果となり、最終的に5名での活動となりました。

 余談ですが、今回、宿泊でお世話になった鉢ヶ崎オートキャンプ場にボランティア用の宿泊地、「ボラキャンすず」を開設した岩手県のボランティア団体「SAVE IWATE」様は、教育施設や矯正施設と連携し、社会貢献作業として、地震により汚れた輪島塗漆器の清掃作業を実施しているとのことでしたので、支援活動を通じた縁を感じることとなりました。

 

4 被災地の現状
  今回活動した珠洲市は、能登半島の最先端、いわゆる奥能登地域に位置し、地震だけでなく豪雨による被災もあり、甚大な被害を受けた地域であることから、災害による死傷者は合わせて400人を超え、仮設住宅の入居者も1,200人以上とされています。
  これまでの支援活動を通じて私が被災された方々から直接見聞きした話によると、能登半島に居住されている方は高齢者が多いこともあり、被災から1年半を過ぎた現在でも仮設住宅に入居されている方も多く、また経済的な理由等から新たに住居を確保することが困難である方も多いとのことです。加えて、先々の生活の不安が解消されない状況下、行政による支援や自助努力だけでは元の生活に戻ることは困難だと思われている方が多いように感じています。
  しかしながら、地理的制約などから復興の歩みが遅れている面は否めませんが、現在も志あるボランティアの方々により支援は継続しており、公費解体も進んで被災家屋があった場所は更地になっていたり、被災者自身が立ち上がって子ども食堂を再開するなどの取り組みも始まっています。ボランティアと共にではあるものの、仮設住宅の設備改善や資材提供等、被災者同士の助け合いといった支援も広がっており、被災地は応急復旧期から抜け出し、本格復旧・復興期、さらには、再生期に向けて着実に歩みを進めていると感じています。

5 終わりに

  これまでの活動に際しては、宿泊地や活動場所等の調整などで大変お世話になりました、長野県のボランティア団体「お手伝いJAPAN」様、「SAVE IWATE」様を始め、自身も被災されているにもかかわらず活動調整をしていただいた石川県の各市町の社会福祉協議会の職員様に対し、この場をお借りして深く感謝申し上げます。ボランティア活動の機会を得て、他のボランティアの方々の活動や思いやりの心に触れ、また被災者の皆さまと直接対話をさせていただくと、その前向きな言動、笑顔や感謝の言葉にいつも心を洗われ、お互い様の精神の大切さを改めて実感させられます。

  志援は、活動理念として、「職務で培った知識・行動力・団結力・胆力を役立てる(公益性)」を掲げており、実際に高所作業等の特殊案件を受けるなど、職務で培った能力を被災地支援に役立てられたと喜びを感じる一方で、活動を通じて、我々矯正職員も社会の一員であり、社会から理解される組織である必要があると改めて社会的責任の重さを実感しています。

  令和7年6月には、拘禁刑が施行され、刑事施設では新たな取り組みが始まりましたが、我々矯正職員は、被害者を生まない社会、皆が安心・安全に暮らせる社会を目指すための職務執行をしなければなりませんが、組織内だけで完結するのではなく、社会にも理解してもらう必要がありますので、志援の被災地支援活動を通じて、その関係者との繋がりの中で、矯正職員の存在意義や社会的役割などを広め、出所者が社会で孤立しないよう、矯正行政を理解してもらえる一助となれば幸いです。

  最後に、平素より志援の活動を応援してくださる更生支援事業団様に心より感謝申し上げます。

令和7年7月26日 記