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第4回目は、元京都刑務所長で、今なお刑務官等矯正職員に深い愛情を注ぎ、応援を続けている山本先生からのメッセージです。
新型コロナ対策に尽力する矯正職員を応援します
株式会社クラモチ 総務部長 山本孝志
折からの新型コロナ騒動は、緊急事態宣言が延長される等、未だ先が見えない状況にあります。その中にあって、今般、矯正施設でもクラスターが発生したとの報道に接し、矯正OBの一人として、そこに対応する職員さんのことを想わずにはおれません。
実は、私は平成21年7月、那覇拘置支所長時代に新型インフルエンザにより、処遇部門の幹部を全滅させ、入出所から面会、裁判に至るまですべての業務を停止する対応を強いられたことがあります。職員が感染した事実を知らされた時「防げなかった。失敗した。」という自責の念に駆られ、右往左往する間に、初動の陣頭指揮を執ったり、真っ先に現場対応をしたりした士気の高い職員を感染させ、早々に失うというミスまで重ねてしまいました。
今般のコロナ騒動は新型インフルとは比べものにならないほど鬼気迫るものがあり戦争に例えられるほどの難問です。その中にあって、特殊な環境にある矯正施設では、筆舌に尽くせない労苦があることは容易に想像できます。多くの矯正職員が限界を越えてもなお、ひるむことなく必死に体を張り、ただ黙々と対応をされていることでしょう。時には、必死の想いが衝突を生んだり、疲れ果て、残念な想いや辛さ、苦しさ等に苛まれたりすることもあると思います。
ですが、仮に対策の効果がすぐに見えずとも、最悪失敗したとしても、決してうろたえてはなりません。私の経験からすれば、目的ある計画的な対策であれば失敗した対策の中にこそ成功のヒントが必ずあるのです。
大事なのは、心ひとつにして作戦を実行し、失敗した時に落ち着いてその中身を見、情報を共有して修正を図ることだと思います。今はどんなに苦しくても、体を張る現場職員を慈しみ、現場は幹部を信頼し、一丸となって、最後まで諦めず可能性を信じて動き続けてほしいのです。その姿勢こそが必ず活路を見出します。
そして、これは一施設の問題ではありません。社会の安心・安全を守る最後の砦と言われる矯正にとって、歴史に残る貴重な体験・実績として後世に伝えられるべき事案であり、財産にもなり得るものです。ですから、皆さんの果敢な戦いを私たち矯正の仲間はもちろん、多くの国民が見守り応援しているのです。
躓いた石を踏み台にして、更なる矯正の発展につなげるくらいのしたたかさで、どうか胸を張って、勝負していってください。心から応援しております。