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能登半島ボランティアの振り返り

 

能登半島ボランティアの振り返り   

楠田 泰己

2024年7月13日土曜日、石川県能登半島・穴水町のボランティアに参加しました。まず私がこのボランティアに参加した目的を話します。1つ目は人助けです。1人増えるだけでも手助けできることはあるだろうと思ったからです。2つ目は経験です。私は今、不自由のない幸せな環境で暮らしていますが、被災地では困っている人たちがたくさんいます。しかし、それは被災地に行かなくても考えられることで、スマホなどで調べることだってできるし、テレビで見ることもできます。でも被災地に実際に行くと行かないとでは大きな違いがあり、行って体験してわかることがたくさんあるだろうと思い活動に参加しました。

 ボランティア前日の真夜中に家を出発し、集合場所まで車で向かいました。移動の際、寝ていると車の大きな揺れで目が覚めました。時々、大きな揺れがありました。それは地震によって生じた道路のひびで、被災地に着いた、と体で感じました。途中、朝ご飯を買いにコンビニに立ち寄ると目に飛び込んできたのは、店舗入り口のガラスに貼られていた言葉でした。“24時間営業中。能登半島。みんなで頑張ろう!” その言葉を見て、能登半島の人たちの力を感じました。お店の外観や内装は地震の影響で綺麗であるとは言い難い状態でしたが、震災の大変さを感じ、近所の住民の方々にとっても大切なコンビニなのだと思いました。これらは、実際に被災地に行くまで体感できなかったものです。

 集合時間となり、父の職場の人たちと合流し、朝礼のようなものが行われ、いよいよ始まるぞ!という雰囲気になりました。その仕事の人たちの間のやり取りで大人の世界みたいなものを間近で見られたのも良い経験でした。その後、ボランティアセンターに行って、服に名前シールを貼ったり、作業の説明を聞いたり、活動班に分かれたりして、それぞれが効率よく安全に動くために話し合いをしていました。またそこでもたくさんの人たちが協力し合って成り立っているのだと思いました。

 その日はボランティアセンター前の広場で“音楽の日”というテレビ番組がライブ中継をするようでした。実際のライブ中継はボランティア活動中に行われたので、活動を終えてから録画で見ました。その番組の中でも、石川県のたくさんの人が支え合っていると放映されていましたし、実際その番組を中継する為に、機材を運んだり、撮影したり色々な設営・撤去の為にたくさんの人の力が関わっているのを目の当たりにしました。

 ボランティアセンターから昼休憩を挟んで2か所の被災現場で活動しました。現場には参加者が乗り合い、車で移動しました。主な活動は、倒壊した建物の瓦の保存作業でした。私は倒壊した建物の屋根には上らず、その屋根から運んだ瓦をひたすら分別して運ぶ役割で、途中から交代してトラックの上に乗り、瓦を並べる役割に代わりました。その作業は、重い瓦を何枚も中腰で並べる作業だったので、若者である私がするのが最適だと思い率先して行いました。作業が終わった後、両親によく頑張っていたと言われた時は、自分自身でもよくやったと思いました。

 活動の休憩中に、被災者の方から、近くの山から流れる湧き水を頂き、炎天下の作業で乾いた体に染み渡りました。水道水が止まっているため、水が当たり前に飲むことができる有難さを感じました。庭の中も案内してもらったのですが、地面や塀にはひびが入り、コンクリートの分厚い塀が傾いていました。人の力では簡単に動かせないものでも、地震は一瞬にしてとても大きな力を及ぼすことを改めて感じました。

 他にも車が家で押しつぶされていたり、家の中がぐちゃぐちゃになっていたり、避難されている仮設住宅があったり、普段の生活では感じられない、ニュースだけでは伝わらない細かい気づきだったり、感じ方の大小だったりが、行く前とはまるで違いました。やはり現地に行ってみないと思わなかった感情や知らなかった事柄があると思いました。被災者の方から震災時の話を直接聴くことができたのは貴重な体験でした。

 今回、感想文を書くことでボランティアを思い返す良いきっかけになりました。これからも人のために何かをしたり挑戦したりする心を忘れないようにしたいと思いました。日常生活を送る中でこの気持ちが薄れていってしまわないように、大学生になってもまたボランティア活動に参加します。色々な意味で貴重な体験になりました。ありがとうございました。